めもあある美術館
小学生のとき高学年の国語の教科書に「めもあある美術館」という
作
品が載っていた。
普通の小学生が主人公の童話なのだけれど、不思議な感覚の物語り
で
ずっと心に残っていた。
6年間を通して教科書に載っていた作品で記憶にあるのはこの1編
しかな
い。
教科書はとうに手元になく、作者の名前も忘れていた。
このサイトを立ち上げることになり、ふと、この物語のことを思い
出
した。
検索してみると作者は 大井三重子、とある。
聞いたことのない名前、と思ったら仁木悦子の本名だという。
仁木悦子が推理小説を書きはじめる前に1冊だけ書いた童話集の中
の
1編なのだそうだ。
復刊ドットコムで100票を超え、復刊交渉中らしい。
復刊されたら私は再び読むだろうか。
おそらく読まないような気がする。
なぜ、なのか自分でもはっきり答えることはできないけれど。
ここに挙げる芸術家や作品は私の記憶の底に深く沈んでいたものば
か
りだ。
何も考えず、何も感じないようにして過ごしてきた時間があった。
そうしなければ、生きていることができなかったから。
蓋を閉めたまま時を止めて心の奥底に沈めてあった小箱を、今なら
開
けることが
できそうな気がする。
遠い記憶は或いは薄れ、或いはその姿を変えているかもしれない。
けれどここでは敢えてそれを正そうとは思わない。
なぜなら、ここは私だけの「めもあある美術館」なのだから。
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